2016年5月3日火曜日

オオオナモミとタンポポのネックレス


出町橋を通って
わたしは
桝形商店街へ
歩き出した。
お天気が良く
タネゲンで苗を見たり
あいかわらず
出町のふたばは
行列が何列も出ていて
それを横目で見ながら
商店街を歩き出した。

入り口を歩き出したところで
ふと思い出した。

母が生きていたとき
母の着物専用の箪笥に
見たこともない
琥珀のネックレスが入っていた。
問い詰めると
出町の商店街で
買ったという。
そういえば、
入ったところに
そんなお店があったな〜って
高校のとき
通学路だった商店街を
わたしは
すごく懐かしむように
また歩いた。

結局、帰りに晩ご飯の
用意を買えば
楽だと思い行ったのだげど
近所のスーパーで買おうと
商店街の最後までを
歩いて
Uターンするつもりだった。

         
わたしは
足を止めてしまった。
Uターンをする前に。

ひとつのネックレスに
心を奪われてしまった。

古い昔ながらの
時計屋さん。
少しアクセサリーも置いているような。

高校の時から
ずっとあったお店。

わたしは
その中に混ざるように
陳列されている
二つのネックレスに
気を引かれ
お店の中に入った。
それは昔からあるものではなく
今のものだった。
それでも
なぜか心奪われた。


こういう時
決まって、中には
目を閉じて座っているような
おじいさんだったり
可愛いパーマネントの
おばあちゃまだったりするが
店員さんは
若いお姉さんだった。

わたしは彼女に声をかけた。

『表の植物のネックレスって、中身は本物ですか?』

彼女は笑顔で答えてくれた。
そして、
わたしは二つのネックレスを
手に取り
鏡に当て
どちらにするか迷ったが
彼女と自分を重ねてしまい
二つとも
わたしはお買い求めした。

樹脂で作ってあるとは
思えないくらい
ガラスのような仕上がりで
右は
オオオナモミ
左は
タンポポ
が入っている。
すごく綺麗で
チェーンも極細で
気に入ってしまった。

彼女と話しているうちに
とりあえず
どちらかを買おうと思った。

でも、
彼女と話していくうちに
『これは縁だ!』
って
彼女に
『ふたつとも下さい』
そう言った。
そう言ったのは
彼女のモノづくりの姿勢だった。

手の込んだ
時間をかけたモノづくり
でも、
だからといって
高い値段ではなく
『この場所でしているから。。。
よく、ネットで販売したら?と言われるんですが
ここでお客様と会話して販売をしたいんです』

わたしは
若い彼女に
自分ではもう、叶えられない何かを
叶えて欲しいと思った。
どうぞ、このまま
作り続けて
その姿勢を忘れないで欲しいと思った。

その美しさが
そのままネックレスに
出ていた。
           
           
『落としても割れないですし、もしなんかあっても必ず直します!』

彼女のピュアな心が映し出されたネックレスの
中身は
植物だ。
これは実で棘があり
ひっつき虫となって
わたしたちの洋服にくっつく。
高野川で彼女がひろったもの。
きっと、彼女がその手で
拾い上げた時から
輝いていたのだろう。

その輝きは
ダイアモンドより
輝いている。

一目惚れした
このネックレスに
母の買った
琥珀の中の小さな生物を
重ねた。
          
彼女は
このタンポポの種子を
きっと
わくわくして
持ち帰り
これを作ったのだろう。
その喜びは
このネックレスの
輝きそのものだ。

時間を費やし
でも、
それを高額にして
販売することは簡単だ。
それに
ほんとうはそれくらい
高額だっておかしくないくらい
丁寧に作られている。
すごく美しい。

でも、それを
価格を抑えて
販売する彼女は
すごく純粋に
モノづくりが好きなんだと感じた。

わたしは
一度に
ふたつもの宝石に出会った。

なかにはきっと
『なんで?落ちてるものでしょ?」
なんて思う人もいるでしょう。
でも、
わたしは
ときめいてばかりだった。
          
出町
そう書いてあるのが
わかるでしょうか。

わたしが
一乗寺にこだわるように
彼女は
きっと、生まれた
出町にこだわるのでしょう。

どうぞ、彼女の
清き美しい夢を叶えて欲しいと思った。
          
あまり
だれかの作ったアクセサリーは
買わないわたしが
久しぶりに買った
ネックレスふたつは
たいせつな宝物になりそう。

もし、こわれても大丈夫。
出町に行けば
彼女が直してくれる。

彼女に珊瑚の話をした。
彼女なら
美しい珊瑚を
美しいアクセサリーに変えてくれると
確信した。
また、お金を貯めて
出町を訪れよう。
そして、彼女に
珊瑚のアクセサリーをお願いするつもりだ。
          
20分くらいで戻るね、、
そう言って別れた子供たちのところへ
急いで帰る。

案の定、心配性の二人は
お昼を食べた場所で待っていた。
川で遊んでいたらいいのに、、、

走っていき
遅くなってごめんねって謝って
わたしは
バッグの中から
ネックレスを取り出す。

こどもたちが
目をキラキラさせて
見ている。
わたしは
間違いないものを選んだって思った。

『おかあちゃん!すっごくきれいだね!!』
『うん!すっごいきれいでしょ!』

もし、あなたがドキッとしたなら
出町柳で探してね。
彼女の美しいこころが
あなたを待っています。

キラキラと輝きながら。。。

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